奈良・生駒の行政書士「すみれ行政書士法務事務所」の野村早香です。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
「父の終活 その1 事業承継」、「父の終活 その2 遺言を書くべきか」に引き続き、
今回は医療告知について。
なんだか一気に重たいテーマですが、
どうぞお付き合いくだされば幸いです。
前回の「遺言」のテーマの時に、
エンディングノートの活用をお勧めさせていただきました。
エンディングノートには、
財産のことや老後の生活のこと以外に、
通常は医療について記載するページがあります。
そのなかに、
「医師からの重病の告知について」といったような欄があります。
例えば、癌を罹患していることがわかったときに、告知をする・しないなど。
私の父は3年前に癌を患い、手術で癌を取り除きました。
癌を取った後、定期検診も欠かさず受けていました。
昨年の夏ごろから、
父は目の視野がおかしいことに気付き、街の眼科を受診しました。
原因がよくわからないまま、
父に癌の既往歴があることを知った眼科医は、
念のため大きな病院を受診するように紹介状を書いてくれました。
片道2時間以上かかる他府県の病院です。遠い病院を紹介されたことで妙なざわざわした不安を感じたことを今も覚えています。
その病院では、受付カードがあり、
エンディングノートにあるような「重病(癌)の告知について」を記載する箇所がありました。
父は「お母さんが聞いといて」と言い、
「家族に告知してほしい」を選びました。
眼科医は、レントゲン画像をみて、
「癌の可能性はかなり低いが、やはり原因がわからないので、
PET検査をとってはどうか」と提案しました。
(PET検査・・・癌検査。小さな癌細胞でもわかり早期発見にもつながる可能性があるもの。)
すぐさま地元の病院でPET検査をし、
画像データを持参して、再度2時間かけて受診します。
すると、画像を確認した眼科医が、
「最悪な結果です。全身のあちらこちらに癌が転移しています。」
と、いきなり父を前に画像を見せて説明しました。
病院の受付カードで、自分には直接の告知をさけ、
家族へまず告知するよう希望していたにもかかわらず、
いきなり全身癌に侵されていることを本人に告知されました。
あまりのことだったので、
両親もわからぬまま、
言われるがまま、
ただただ説明を画像を見るのみ。
あとから、
母と私で「あの受付カードはなんやったんや」と話はしましたが…
父を含め私たち家族は、いきなり告知されたことについては、
一切怒っておらず…。
むしろ地元病院の定期検診で異常を発見されない中、
PET検査をすすめてくれた眼科医の先生に感謝しています。
それから病院の再紹介や治療等に進んでいくことになりました。
癌の治療は、
副作用等、体への負担が大変ですから、
告知ありきの治療です。
エンディングノートに家族やお世話する人が、
「告知を希望しない」と書いたら、どうしたらいいでしょう…と考えさせられた出来事でした。